経営学研究者の卵の日常。

92年生まれ、経営学の大学院生。基本的には自分の頭の中の整理と備忘録。神戸在住で北海道に住んでいました。

2019年以降の集団はどうあるべきなのか?

 正月で少し気持ちの余裕のあるときなので、少し視野を広げて2019年以降の集団はどうあるべきなのかについて考えてみようと思います。

 

 2018年はこれまで抑圧されてきた(社会的)弱者の声が主張された年だったと思う。例えば、Metoo運動がその代表例だろう。他にも働き方改革によってこれまで働きづらかった人たちの声を会社が聞かなければならないといった風潮が高まっている。

 

 2019年もこれまで抑圧されてきた人が開放される形でどんどん声が大きくなるだろう。そうすると、これまで小さな声を看過してきた集団(職場・家族)や組織(会社)や国(社会)が声をあげた彼らのために何らかの配慮をしなければならなくなる。

 

 集団が個人を配慮するにはまず、このマネジメントのコストをどの程度かけられるかが問題になるだろう。さらに、特定の個人を配慮しすぎると、それ以外の人たちが不公平感を感じるかもしれない。これら2つの問題はすなわち、個人の声や行動を集団がどのようにマネジメントするのかという問題である。

 

 これらの問題に直面すること自体は避けられないし、悪いことではない。ではどのように対応するべきなのかを、近代国家の主題である自由・平等・博愛の視点からそれぞれ考えていく。また、便宜上、集団のマネジメントに焦点を絞って議論していく。

 

 1つめに、自由とはすなわち自律であり、個人が主体的・自律的に行動を選択できることが重要である。具体的に言えば、個人が好きなもの(こと)を表現できるような集団にしていくことが大事である。ここまでの議論は多くされているが、あまり考えられていないのは、好きなことを表現できるような集団とは同時に、嫌いなことは表現しなくてもいいということである。集団はときに嫌なことまで表現させられる同調圧力がはたらいてしまう。「好きなことを言おう」と言うのは簡単だけれども、「嫌なことは言わないでいいよ」という集団はあまりない。抑圧されてきた人たちの声を聞くことは重要であるが、「言わなきゃわからないから言えよ」というのは強引である。自分のコンプレックスやトラウマに感じていることを開放したくない人はしなくてもいいという選択肢がある集団をつくらなければならないと思う。

 

 2つめに、個人が平等であるためには一人ひとりが適切なポジションを与えられることが大事になる。ただ、適材適所的に住み分けをしていくことには限界がある。それは最初にあげた問題にもあるように特定の個人を贔屓すれば、他者に不公平感が生まれる可能性があるからである。この問題を解決するのは非常に難しいが、強引に導くならアイデンティティに優劣をつけることをやめることが必要だと思う。そのためにはアイデンティティを一括りにせず、個人が持つアイデンティティに対する考えを理解していくことが必要である。

 例えば、特定のアイデンティティを「持ちたくても持てない人」、「持ちたくなくても持たざるをえない人」、「持っていないが持とうとしている人」がいるということを理解する必要がある。持ちたくても持てない人というのは、男性のように仕事をしたいが女性であるがためにガラスの天井にぶつかる人が考えられる。持ちたくなくても持たざるをえない人というのは、病気や障害を抱えている人などである。持っていないが持とうとしている人とは、学歴などが考えられる。

 これらのアイデンティティを一括りにすることはできない。特定のアイデンティティを優劣として捉えるのではなく、単なる性質として捉えなければ、平等はありえない。

 究極的には仕事とアイデンティティの関係性を一人ひとりに合わせてマネジメントする必要がある。当然多くのコストがかかるため、現実的な落とし所を探らなければならない。

 

 3つめに博愛であるが、これは日本の価値観や宗教観では考えにくい。個人主義が進んでいる昨今ではなおさらである。例えば、電車で赤の他人に席を譲ることは非常に勇気がいるだろう。席を譲るくらいならできたとしても、見返りを求めない施しを知らない他者にすることは難しい。したがって、まずは集団内ですでに親しい人や自分の身の回りの大切な人に向けてポジティブになるような行動をすることがいいだろう。ちなみに、これは集団の中の個体として生活してきた日本的(儒教的)価値観と一致する。

 

 まとめると、2019年以降の集団のあるべき状態は、個人が意図的で選択的な行動ができること、アイデンティティを優劣ではなく性質として捉えること、身の回りの人を助けることが可能な状態が重要なポイントになると思う。

 

※自由・平等・博愛のテーマは、一部「沈黙の宗教―儒教加地伸行)」を参考にして考えました。

 

沈黙の宗教――儒教 (ちくま学芸文庫)

沈黙の宗教――儒教 (ちくま学芸文庫)

 

 

ひで