経営学研究者の卵の日常。

25歳。経営学の大学院に通う、研究者の卵です。基本的には自分の頭の中の整理と備忘録です。神戸在住で北海道に住んでいました。

研究や実務における「問い」について

僕が所属しているゼミでは、「問い」の重要性を口酸っぱく言われます。

 

春休みに読んだ佐藤郁哉先生の「社会調査の考え方」という本には、研究における問いについてリッチに記述されています。

 

社会調査の考え方 上

社会調査の考え方 上

 

 

その中で本編ではなくコラムに、トヨタのなぜを5回くり返すことの限界について書かれています。

 

要点は2点で、1つめは、whyのくり返しだけでは実証データのうらづけが示されないということです。ただなぜをくり返すだけで事実確認をしなければ、その思考は意味をなさないということが書かれています。

 

2つめは、なぜをくり返すことで視点が拡散してしまうことをあげています。

 

例えば、

なぜ社内の離職率が高いのか?

→なぜなら、仕事に魅力がないからだ。

なぜ、仕事に魅力がないのか?

→なぜなら、上司に怒られるからだ。

なぜ、上司に怒られるのか?

→なぜなら、ミスをするからだ。

なぜ、ミスをするのか?

→なぜなら、入社間もないからだ。

 

このように、なぜ、なぜならばをただくり返しても、

問題が何であるのか、本質的な仮説はどれなのかが非常に分かりにくくなってしまいます。

仕事そのものの改善をすればいいのか、上司の態度を変えればいいのか、従業員のミスを減らせばいいのか、視点がバラバラで納得感やロジックが不明になります。

 

 

どうやら問いそのものをもう少し丁寧に見ていく必要がありそうです。

問いには大きく2つあります。

1つは、記述の問い(how)です。もう1つは、説明の問い(why)です。

 

記述の問い(how)とは、理論的な関心、即時的関心(未知の現象)にもとづいています。

理論を検証し反駁することがおこなわれます。

記述の問いの対象は、現象や既存理論となります。

 

例えば、「なぜ従業員は言いたいことが言えないのか」というのは記述の問いになります。言いたいことが言えないという現象(沈黙)が対象になっているからです。

この問いに対する仮説は、沈黙の原因(例えば、リーダーの行動)などがあげられます。

すなわち、どのようにして沈黙が生じるのかを記述することが、記述の問いに答えることになります。

 

一方で、説明の問い(why)とは、データを理論的に説明することです。あるいは、データを用いて説明(例証)することです。

具体的には、状況証拠を用意したり、理論や解釈の例証、データの説明がされます。

 

例えば、なぜ、上司Aがいる場合、発言が少なくなるのか?といった問いが考えられます。

上司Aがいる場合に発言が少なくなるというデータ(事実)があるので、それに対してなぜなのか(why)ということを証拠や理論を示すことで説明していくという問いです。

仮説は、上司Aが一方的に話しているから(証拠)や、上司Aの従業員の発言へのオープンさが低い(理論)からといったことがあげられます。

 

以上のように、「問い」を立てることはただ単にすればいいというものではありません。

まずは、問いをくり返すだけではなく、記述の問いと説明の問いを意識することがいい研究をするためには必要なのでしょう。

 

ひで